令和7年第1回日野市議会定例会 一般質問

一般質問
令和7年2月28日
池田としえ

データセンターは環境に重大な影響を及ぼす!検証を急げ!

 データセンターの問題については、昨年9月から一般質問など折に触れて質問をしておりますが、いまだどこの誰がどんな規模で事業を行うのか、全く情報公開がされていません。
 昨年9月議会では「物理的攻撃が心配だ」という答弁でした。しかし、設立前の段階ですら物理的攻撃が心配だと事業主が言う施設です。建設後はさらにその懸念が増すのではないでしょうか。周辺住民の気持ちを慮ると、非常に気の毒に思います。

 世界はもとより日本全国でデータセンターの建設が進められている中、事業主も規模も発表されず、工事だけが着々と進んでいるのは日野市だけではないでしょうか。隣の昭島市で計画されているデータセンターは日野市の倍の規模ですが、最初から情報を公表しています。それに対し、日野市に参入予定の業者は、よほど公表したくない何かがあるのではないか?腹を探られるのが嫌なのか?と感じてしまう住民の声も理解できるところではあります。
 沈黙を通すほどに、多くの方々が思惑を膨らませ、危機管理意識を強めざるを得ない状態になりがちで、この企業姿勢に対して強い疑念が深まります。

 そこで、まず前回、前々回同様にこの質問からいたします。

質問1 事業者は誰なのか?

事業者は誰なのか。規模などの情報は明らかにされているのか?

答弁

事業者からは非開示との回答があり、把握していません。

 半年以上経ってもこの状況は変わらないということですね。

 たとえ話で考えてみますと、同地域に暮らすというのは、いわば運命共同体です。特に近隣というのは、災害時には行動を共にし、助け合わなければなりません。そうしないと存続が危うい場面にも遭遇します。
 しかし、結婚するというのに、相手の顔も素性も知らされない相手が信じられますか?おかしいと思うのが人情であり、危機管理だと思います。

 データセンターは、クラウドサービスやインターネットの基盤として留意されていますが、常時大規模な電力・冷却システムを必要とするため、周辺環境や健康への影響が懸念されます。これは世界中で同様です。特に隣市昭島で計画される日本GLPの施設は、日本中のデータセンターの電力消費量にほぼ匹敵する熱量が発生するとされています。日野市はその半分の規模が予定されているとの話が伝わってきます。
 相手が正体を現さないならば、仮にという形を想定した場合の心構えや方向性を問うという形で、具体的に伺いたいと思います。

 5年前に起こったコロナのことでも、危機管理をいち早く働かせるのがいかに重要か学んだところかと存じます。
 私がコロナで学んだ危機管理のキーワードと言うのは「グローバル化」です。安易に使われている「グローバル化」の中身とは、文字通り世界の状況と、それにより日本が影響を受けている、受けざるを得ない状況にどう置かれているかを分析し、国益を図ることに他なりません。国に起こっていることは、法律などを通してそれぞれの暮らす住民に直撃し、もろに影響を受けます。法律を決める国会には誰一人住んでいるわけではなく、もれなくすべての人が各自治体に居を構えております。世界を知り、国を知り、自治体に暮らす住民への影響をいち早く捉えて住民を守っていく。すべての議員がその姿勢を糾すべき時代だと感じております。そんな思いで皆様と共に考えて参りたいと存じます。

質問2 電磁波障害による健康リスク(発がんリスク)に関して

 データセンターには高電圧設備・通信機器・サーバーが密集しており、低周波(ELF)や高周波(RF)の電磁波を発生させます。無意識・高強度の電磁波に暴露された場合、発がんリスク(白血病・脳腫瘍)が増加する可能性が指摘されており、既に国際がん研究機関(IARC)は、世界保健機関(WHO)の下部機関で、発がん性に関する科学的証拠の整合性を分類しており、高周波電磁波を「発がん性の可能性がある(グループ2B)」に分類しています。
 癌のメカニズムを証明するのは鶏が先か卵が先か?というくらい困難ではありますが、可能性という視点も考え合わせ、市民の健康を守る自治体の姿勢をお示しください。

答弁

  • 市民の方より、電磁波について懸念される声が寄せられていることについては、認識をしているところです。
  • データセンターには様々な電子機器が配置されており、また従業員もおりますので、電磁波の発生や影響の低減について一定の対策がとられるものと考えてございます。
  • いずれにしましても、先ほど申し上げたように環境に関する懸念事項として、今回のデータセンター計画に係る電磁波の影響については、今後の環境基本条例に基づく手続きのなかでも協議し、確認してまいりたいと考えております。

 答弁にありました、従業員もおりますので一定の安全性が図られるのではないかというニュアンスは、一昔前の良き時代の日本の道徳的観念であり、日本国内で長年の教育の結果、社会人になっても日本古来からの「和を以て貴しとなす」、互いに争わず、和やかに暮らす、穏やかに暮らすということが大切であるという相互を尊重した結果、信頼を前提とした考え方だと存じます。
 しかし時代は変わり、今従業員は使い捨てか?とでもいうような雇用状況を象徴する事件が後を絶ちません。そういった視点も頭に入れておく必要があると思います。

 記憶に新しいところでは、カルロス・ゴーン事件です。経営者の不正という視点で問題視されましたが、一方で従業員のリストラを積極的に進め、コスト削減のために人件費が抑えられたと指摘されています。これは、平成の失われた30年と言われている間に起こったコーポレートガバナンスの象徴だと思います。
 また、電通の過労死自殺事件は、企業の労働環境の改善が求められた案件でもありました。
 アメリカのAmazonでは倉庫労働者が厳しい労働環境に置かれ、トイレ休憩すらとれないという報告も散見し、労働者の健康よりも効率を優先する企業文化が問題視されました。
 2008年のリーマンショック後、派遣社員を大量に解雇し、派遣切りの憂き目にあった人々が派遣村を創り社会問題化しました。

 これらの事件が起こった背景を探りますと、なぜ日本がこのような状況になったのかというのは、税やお金の推移を追うと、今の国の政策や現状を分かりやすく受け止められます。
 平成元年1989年当時から30年の間に起こった出来事に起因しているのが分かります。
 平成元年に社会保障制度を充実させると導入された消費税から、外資参入を優遇するコーポレートガバナンス制度が導入されました。スチュアートシップ導入により会社は株主のもの、物言う株主の台頭により投資のリターンを最大にし、短期的視野が求められる経営になり果てました。資産や負債を市場価格(公正価値, Fair Value)で評価する会計手法、国際会計手法の時価会計が導入され、株主資本主義と呼ばれる資本主義の過程にその象徴の企業があると言っても過言ではありません。

 その象徴企業が武田薬品工業です。かつては日本で最強の同族企業として君臨しておりましたが、2014年6月、武田薬品初の外国人CEO クリストフ・ウェバー氏が就任して以降グローバル化が進み、以降外国人投資家が主要株主の多くを占め、今や社内は英語が公用語になり、ほとんどの社員が外国人です。
 こういった状況と私たちの周りで起こっている政策が色濃く連動しているという視点を持っていかないとダメだと思います。
 このあたりの説明はまた別の機会にいたしますが、経営形態が急速に変化している実態は頭に入れる必要があるでしょう。大きなカギを握っていると思います。

 次に、火災・爆発のリスクです。データセンターには大量の電子機器・バッテリー・変圧器が設置されており、発熱・ショート・過負荷が原因で火災が発生する危険があります。リチウムイオン電池の暴走、冷却装置の故障による火災発生、高圧電力設備のトラブルなど、既に2021年 欧州最大のクラウドコンピューティング会社、フランスのストラスブール:OVHデータセンターで大規模火災発生事故が起きています。

 2024年には韓国のデータセンターのバッテリー室で火災発生し、大きな話題となりました。つい最近ですが、京畿道(キョンギド)華城(ファソン)の「リチウム電池爆発惨事」ということで、当時からたくさんの記事が出ています。電池メーカー「アリセル」の工場の構造が無断で変更されていたことをうかがわせる状況が発見され、死亡者数22人の大惨事となっております。

 12月議会で多摩市のデータセンターの現状を、現地を訪ねて報告してくださいました。
 私も調べてみますと、2018年7月26日に起こった火災で死者5名負傷者43名を出しています。

 データセンターは冒頭申し上げました通り、コンピュータ・サーバーを冷却し続けなければならないという宿命があり、24時間365日人間の心臓のように止めるわけにはいかないものです。温度を保つために、断熱用のウレタンなどを壁に吹き付けています。そのウレタンが燃えると青酸ガスを発生させる。青酸ガスはわずか5秒で人間を行動不能に至らしめ、容易に人を死に誘います。東京地裁立川支部で2021年に判決が出ている案件でもあります。

質問3 隣市で起きた凄惨な事件に関して

その土地の所有者は三井不動産であり、Amazonが事業者であったとのことですが、隣市で起きた凄惨な事件に関してご存知でしたか?

答弁

2018年7月26日、多摩市内でデータセンター建設の溶接作業中に断熱材に引火し火事が発生したと把握しています。

 把握していたわけですね。日野市の優秀な職員でありますので、この辺のことは当然熟知しながらこの間の議会の答弁を聞いておられたのではないかと思います。

 日本の中でもデータセンターが必要になり、千葉の印西市に大きなデータセンターが建ちました。日本のマイナンバーカードのことでもお話を申し上げましたけれども、アメリカの Amazon、Oracle、Google、Microsoftの4社が、日本の重要な防衛から何から国家秘密も含めて個人の情報を管理するという状態になっています。この4社は、日本全国にこういったデータセンターを所有しています。 三井不動産がこれだけ事業者の名前を挙げないのは、Amazonが関与しているのではないかと言う方も多いわけです。

質問4 水資源消費と冷却問題の重要性、緑と清流の標語における齟齬に関して

 世界中のデータセンターで最大の問題は水だと思えます。世界中で今、水の危機だとグローバル化に対する警鐘を鳴らす研究家が多いですが、日本国内においても、熊本における半導体産業の外資参入TSMCが問題になっています。北海道千歳のラピダスにも同様の構造が見えます。
 水に対する視点は非常に重要かと思いますが、その辺りをどのようにお考えか教えてください。

答弁

  • データセンターは膨大なデータを処理する電子機器が稼働しますので、その際に熱が発生します。この熱を処理する為、一般的には空冷もしくは水冷システムが用いられますが、電力と水を消費することになります。
  • 特に水冷の場合は、一定量の水が使用されます。排熱の処理方法については判明していませんが、空冷・水冷に関わらず日野市の水資源に配慮すること、特に地下水を利用する場合については、適切な配慮や措置を実施するよう、求めてまいります。
  • 受け継がれてきたみどりと水を次世代へ継承していくため、環境基本条例に基づいて、地域社会との共生を図りながら、効率的かつ環境に配慮した運営となるよう、協議を行ってまいります。

 今部長がおっしゃられたように、いただいたままのきれいな環境を次の世代に手渡して行くと言うのが、私たちの大人の役目だと思います。私たちの命は有限な物で、その中で健康な暮らしができた。私たちの命よりも大事なその次の世代のために、今よりも素晴らしいものを用意してやるというのが大人の知恵だと思うわけです。最も私たち議員が配慮していかなきゃいけないところです。
 自然というのは、お金ではあがなえない。取り返しがつきません。その辺りをしっかりと政策に入れ込んでいく哲学セオリーは、非常に重要だと思うわけであります。

 私も、いろんな本を読ませて頂いておりますけれども、これからIT時代、AIというようなことで、電力需要が非常に多くなってきている。私自身もパソコンも使っていますし、携帯も使っている。そういった意味では、理解できる部分と起こっている事態との整合性を合わせて行って、このくらいの部分だったら受け入れられるなど、コミュニケーションというのは非常に重要です。コミュニケーションを遮断しようとしている相手の態度というのが問題だと思っています。

質問5 世界でのデータセンター反対運動、近隣住民への被害について

答弁

  • 国外の事例では、データセンターでは大量の電力や水を使用するため、電力不足や水不足となっている地域で建設反対運動があることや、国レベルで規制を行っている場合もありますが、日本では今のところデータセンターを規制するルールはないとの認識です。
  • 今後も市民の皆様には大きな影響が出ないよう事業者と協議してまいります。

 この間何度も言っているように、日本国内で現状に追いついていく法律、人を守っていく、自然を守っていく法律というものに不備があるというのが現状で、担当課も非常に苦慮しているのではないかと思えるわけであります。
 しかし、法律とか条例とか以前に、私たちの国と言うのは、古来より打ち解けて話し合ってその先に双方が了解できる場というものを作り出してきました。そういった努力を厭わないものは、民主主義の根幹だと思います。そういう意味では、しっかりとこの辺りのところを詰めて行っていただきたいなと思います。

 データセンターは、サーバーの稼働による発熱を抑えるため大きな冷却システムを使用します。
 冷却方式には2種類あります。1つは水冷式(ウォータークーリング)。大量の水を使用してサーバーを冷却する方式です。水資源が豊富な地域が候補となりやすく、冷却後の温水を排出するため、河川・湖・地下水がかつてない環境にさらされます。
 もう1つは空冷式(エアークーリング)。寒冷地(スウェーデン・カナダ・北欧)にデータセンターを設置することで、自然の冷気を活用してコストを抑えていく。

 エアークーリングなのかウォータークーリングなのか、詳細が発表されませんので何とも言い難いところではありますが、世界中で起こっているデータセンターの建設に対する反対運動を調べてみますと、日本における、日野市における重大な課題も垣間見えるわけです。

 米国オレゴン州ダルズ(The Dalles)におけるデータセンター建設反対運動は、特に水資源の大量消費・環境への影響・電力消費の問題が住民の主観点として挙げられています。ここはGoogle所有です。大量の地下水を使用したのですが、もともとこの地域は半乾燥地域であり、住民は「地域水が不足する可能性がある」と主張しました。Googleは正確な水使用量を明らかにせず、透明性の欠如が批判され、住民や環境保護団体は、「データセンターが地下水の枯渇を加速させ、地域の生態系に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘。その後、地元自治体と秘密裏に交渉が行われ、住民は「意思決定の過程から排除された」と不満を抱いて騒ぎになりました。

 これは水資源の使用量の不透明さが批判を招いた事件ですが、そもそも今に至って身分も内容も明らかにしない企業が、この先自分からマイナスな情報を積極的に公表するとも思えません。

 オランダ・ホラント州ウィーリングハウゼンのMicrosoftのデータセンター(2022年)
 そもそもオランダのように水資源が限られているところでは死活問題です。大きなきっかけの一つが、2021年の干ばつ時にもデータセンターが地下水を使用し続けたことが問題として挙げられました。過剰な水使用と、冷却後の温水が河川や湖に放出され、生態系への悪影響が問題になっています。

 アイスランドの多くのデータセンターは、冷却のために地熱水を利用しており、この水の使用量が増えることで、地域の水源への影響が懸念されました。
 地熱や地下水の過剰な利用、地元の生態系や自然資源への影響、環境保護団体からの反発が多くあった事例として挙げられます。

 イギリス・ノーフォーク郡の農地や自然環境の破壊、水資源の消費と生態系への影響。
 中国・広東省のデータセンターの建設による環境への影響(温暖化ガス排出、水資源の利用、エネルギー消費)や、土地の変換が問題視されました。

 これらのデータセンターは大量の電力を必要とし、そのエネルギー源が主に石炭であることから、環境への負荷が大きいとされています。日野市の方向性、国の方向性と本当に合致しているのでしょうか。
 実は、データセンターは世界では忌み施設です。データセンターは高度に自動化されており、雇用創出効果は限定的です。広大な土地とエネルギーを消費する割に、地域経済への貢献が少ないとされているため、批判に拍車がかかっています。できるだけ海外に造らせ、ブランチ化して収益を上げていく方向性が見えてきます。

 水源として有名な「昭島の地下水」は、市のシンボルの一つです。日野市も同様です。
 日野市はかつて「多摩の米蔵」と呼ばれるほど、土地も水も豊穣で美しかった。水環境が良くインフラも十分に発達している小都市を狙ったかのようなやり口。これで相手はいまだ正体を現さないのですから、失礼千万と感じます。
 今回のことを有史以来の大きな出来事として捉えていく視点も大切だと思います。しかも、日野自跡地だけではなく、オリンパス跡地にもデータセンターができます。

 「秘匿性」を理由に詳細を明らかにしない事業者を放置し、情報公開せず稼働するようなことがあれば、他の地域にも大きな影響を及ぼす悪しき前例になりかねません。同様の手法が伝播する可能性を許すことと同義であり、一度認められれば、あとは外資系資本が「秘匿性」を理由に野放し同然となる可能性が大きいと思われます。これは日野市だけの問題ではない。日野市民としての矜持にしていかなければならないと思いますが、市長のお考えをお伺いさせてください


 本議会の初日の冒頭で、市長に質問を出させていただきました。その時は、データセンターの件でCO2のことを中心に伺いました。両方でこのような質問するというのは、やはり本当に重要な施策であるということです。
 CO2が重要なのも、排出規制が重要なのも、空気は遮断するところがない。地下水も遮断するところがない。熱もそうですね。ある意味、日野市だけの問題ではない。しかも、日本の中でも最大の規模に数え上げられる施設を造ろうという計画なので、便利と言う言葉と考え合わせていかなければならないと思います。

目指せ!「みんな元気になるトイレ」災害関連死について

 「天災は忘れたころにやってくる」と言いますが、この文明社会の中、能登地震の被害者は未だ放置されている状態が続き、本当に心が痛みます。
 被災し最も重要な教訓は、「トイレ」というキーワードです。

質問1 災害関連死の起こる時期と原因の分析

答弁

  • 災害関連死とは、自然災害や事故によって直接的に亡くなるのではなく、その後の生活環境や、健康状態の悪化によって引き起こされる死亡を指すものでございます。
  • 特に、避難所での生活を余儀なくされる場合や、災害後の医療体制が整わない状況において、災害関連死のリスクが高くなると言われております。
  • 災害関連死が起こる時期といたしましては、およそ8割の方が災害の発生後、3か月以内に亡くなられております。
  • 熊本地震の際には、地震の発生後1週間以内に亡くなられた方は24%、1か月以内が57%、3か月以内が81%となっております。
  • また、東日本大震災では、災害関連死と認定された方1,263人のうち、1週間以内に亡くなられた方が18%、1か月以内が48%、3か月以内が78%でありました。
  • 原因としましてはいずれも肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患と、脳卒中などの循環器疾患の方が多く、全体の6割を占めていると報告されております。
  • また、能登半島地震以降、深刻な課題の一つであるトイレ不足や衛生環境の悪化が、避難所で生活する人々に大きな影響を及ぼす要因になっており、身体的な健康だけでなく、精神的なストレスも増加することが懸念されております。
  • 特に、災害時、断水や排水設備の損傷などにより、避難所におけるトイレの衛生状態が悪化することで感染症のリスクは著しく高まります。
  • また避難所トイレの衛生状態が悪化することで、トイレの利用を控えるために水分や食事の摂取を控えることが体調不良を引き起こす大きな要因ともなっております。
  • 特に高齢者や持病を抱える方にとっては、こうした状況が直接命に係わる重大なリスクであることが懸念されております。
  • 市といたしましても災害時におけるトイレの衛生環境は特に重要な問題であると認識しており、有事の際に、避難先で体調を崩すといったことへのリスクを極力低減できるよう、今後も避難所などにおける衛生環境の整備につきましては最重要課題であるとの認識の基、引き続き環境改善に向け努力してまいりたいと考えております。

 私が申し上げたいと思っていたことをご答弁いただきありがとうございます。
 今の説明からも分かるように、地震なり災害なりにおいて、直接その災害による死よりも、その後の対応による災害関連死が最も多いということが分かります。地震は止められないけれども、地震が起こった以後、人の知恵、人の対応によって命が救われます。

 朝日新聞の調査によりますと、2016年の熊本地震では、地震による直接の死者数50人を上回る218人が災害関連で命を落とした。そのうち約8割が70歳以上の方だった。これが災害関連死の実態です。
 2011年の東日本大震災では、これまでに3,794人の関連死が認定され、このうち復興庁が発生から1年後の2012年に分析した1,263人について見ると、約9割が70歳以上の方だったという報告も出ています。
 私の住む平山1丁目から6丁目だけでも住民は約4,300名。前回の浅川の氾濫の時に平山小に入れた人が約1,000人。とてもではありませんが、あの狭いところに近隣住民全てを避難させるというのは、正直無理な話です。これは恐ろしいことです。

 避難が1日、2日なら良いのですが、長期になった時に問題になるのがトイレです。トイレの衛生環境が非常に悪い。食べるものは何とか来ますが、食べるとそこにいる方たちほとんどが排泄行動を行う。そういった循環の中で、衛生環境が悪いと我慢をする。我慢から、関連しも出てくる。だからこそ、災害が起こる前に、トイレにどういうメスを入れられるかということが自治体の課題の1つであるわけです。

質問2 マンホールトイレのその後の実態について

答弁

  • 市では、能登半島地震での教訓も踏まえ、災害時における衛生環境の整ったトイレの重要性については強く認識をしているところでございます。
  • そのことからも、マンホールトイレにつきましては、今後、避難所に指定されている市内の各小中学校全てに順次設置ができるよう、現在関係部署と協議、調整を進めているところでございます。

 災害が起きた時、日野市だけではなく日本全国それぞれの地域で、今生きている人たちが満足できるような状況を現出させるのは至難の技です。しかし、少しでも命を助けることを前面に、この災害関連死をいかに防いでいくかということが、非常に重要な視点です。
 マンホールトイレのお話もございましたけれども、適時ご準備をお願いしたいと思います。

質問3 近隣市におけるトイレカーの導入状況、及び災害派遣トイレネットワークへの加盟の実態と利点・課題について

答弁

  • はじめに、トイレカー(トレーラートイレ)を導入した近隣市の状況についてでございます。
  • 調布市では、令和7年1月にトイレカーを導入し、それを機会にトイレカーの全国ネットワークである「一般社団法人たすけあいジャパン」が取りまとめる「災害派遣トイレネットワーク」に加盟しており、現在、石川県輪島市への派遣要請を受け、被災地において支援活動を行なっております。
  • また、府中市、小平市、西東京市につきましては、令和7年度中に導入を予定しており、調布市同様、「災害派遣トイレネットワーク」に加盟する予定であると聞いております。
  • 各市が加盟しております「一般社団法人たすけあいジャパン」の「災害派遣トイレネットワーク」には、令和6年11月時点で全国23自治体が加盟しており、ネットワークに参加することにより、実際に災害が発生した際には、全国からトイレカーが集結し、集中的な支援を受けることができることが最大のメリットとなっております。
  • 逆に、デメリットといたしましては、全国規模でのネットワークとなるため、遠方で災害が発生した場合、トイレカーを派遣するための車両運搬や、担当する職員の負担等も少なくないと考える
  • 更には費用対効果として、災害時だけではなく平常時の利用についても有効的な活用を検討する必要がございます。
  • 日野市といたしましても、これまで他市へのヒアリングや視察を行ってきており、トイレカーの必要性は強く認識はしているところではございますが、初期投資やその後の維持管理などにも一定の費用が必要であること、更には「災害派遣トイレネットワーク」への加盟による課題などへの対策も、市として整理が必要であると考えております。
  • 今後も他市の導入状況等を参考に、市民にとって真に必要性の高い災害対応施策について、慎重に検討を重ねていくことが重要であると考えております。

 品川区で実施したトイレカー購入に係るクラウドファンディングについて、品川区長がこのように話しています。

 「寄付金はトイレトラックの導入費用に使わせて頂きます。被災時に深刻化するトイレ問題解決のため、品川区は『みんな元気になるトイレ』トイレトラックを導入いたします。 導入後は、災害派遣トイレネットワークに参加し、いざという時には、全国の参加自治体が駆けつけ支援し合う、助け合いの仕組みに加わります。」

 クラウドファンディングを活用すれば、市民の理解と協力を得ながらトイレを整備することが可能となります。こういったプロジェクトを共に成功に導いて、日野市全体で盛り上げていこうという試金石の提案にもなろうかなと思うわけであります。
 転ばぬ先の杖をどのように展開していくか。震災などの災害を避けるのは非常に困難ですが、災害が起こった後に人を助けていくことは、私たちの知恵と力で可能です。そしてまた、そこをやって行かなければならない。そのための1つの仕組みとして、トイレカー導入に対してのクラウドファンディングという視点を具体的に提案させていただいたわけであります。

 私も長らく質問をして来ておりますが、これが最後の市長に対する質疑になります。
 市長自身は堀之内の案件で思わぬ引き継ぎを受けて、元々職員の時から本当に紳士的で真面目な方で、初めて答弁を伺った時、前任の馬場市長よりも素晴らしい答弁をなさるなと、敬意は表しておりました。この間、5年間コロナのことがあって、本当に苦しい思いをなされたかなと、そんな向きの質問もしてきたかなと、今日立つまで思い返しておりました。
 このトイレの問題。これをどう差配していくかによって、やはり市民が苦しい中でも助かって行く、助けられる、そういう風景が目の前に展開して行くような気もします。
 最後に、市長からの所見をお伺いさせていただきたいと思います。


 今朝のニュースまで織り込んでいただいて、私もまた再度、議員として学ばされる姿勢だなと思わせていただく答弁でもありました。

[PDF] 令和7年第1回日野市議会定例会 一般質問

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